ことば

 /ろう

読み解かれるための 内臓をさらして 傘を裏がえす 猫をなでるように 時代 時代と 言う ひとの 耳元で トキヨ トキヨ と もう 死んでしまった 女の子の 名前を 叫び続けて いたい まだ 生きている 女の子も いる というのに 傘を置く場所を 探して 骨を取り出…

 アーミ

心臓を 何度も 破裂させ ながら とんで いく カモメ 東京は 戦場 だから と言う 街宣車 が そこ ここ に りんごを 噛む 音にも 脅える 心臓を 何度も 破裂 させ ながら 日常 なんて 言葉は ない 恋人の 体の 中身を 目に 焼きつけて も 東京は 戦場だから と…

ろうそくを 鈍く ともすように 踊れば 死にたいのと つぶやく 植物の実が からだじゅうに たくさん くっついて いた かゆい からだじゅうを くねらせば しゃらしゃら 鳴る 死にたいの ちがうの 燃えたいの ちがうの 助けたいの とんでいく ものの 影を 踏ん…

 ボート

さよならをいうの? ひげをそって じぶんの からだのにおいのことは わからないから さきにあやまっておくの? さよならをいうの? たぶん スタッズを なめて べたべたにしたときの においだよ そうして 汗は ねこの おしっこの においと おなじ それでも さ…

 アイアイ部

AVビデオを見るのが好きな女の子 というキャラクターを ヌンチャクのように まわしつづけて 誰も死なない ブルース・リーが パチンコ台のなかで 何度も死ぬ 2008年 財布の中はからっぽ あたしたちは みんな 低温やけど 消費できる出来事を なにひとつもって…

 サツバツにて

ゴーストタウンの入口に もや が 立っている シロ と クロの もや が 子どもを 連れて 立っている もや が 緑色の 子どもを もふもふ と やる この世には 錆びついた ナイフ しか ないので 腫れる 病気にかかった 葉っぱが いつまでも 悪態を つく 許してね…

 ヴィシャス

わたしはおまえの血を入れかえることはできない ロックにはない悲鳴が駅に吹きだまっている ロックにはない ロックにはないんだ この 意図された 傷を 舐めておくれと 言う 友達のことを 本当は 汚らしく 真ん中あたりから 食べてしまいたい そうしたら 死ぬ…

 おちんちん

ケロイド ということばが すきだ 谷川俊太郎 みたいに つるつるしている から にくしみを もってして 口づけ したくなる 笑いながら 道を歩いていく ことだって 悪くはない 落葉に 足を滑らせて 転んでも まぶたの上の 蜘蛛が バレリーナに なりたいのと さ…

 ノーダイレクション

食べかけの食べものを テーブルのうえに 置きはなして 床に耳をつける それが 君を待つということ 歌っているのは 肉の匂いをさせた 普遍性で かたちは失っているの だけれど 匂いはずっと のこる あたしはトマトを 手の中で 潰す 君を待つということ じっと…

 ベランダ/砂

そとの スプラッタを きれいに かたづけてくれて ありがとう きみも 放っておいたら きいろく はりつくの? ずりおちた パンツをなおさないで 散弾銃で振動を つたえているのです 冬に はいいろっぽい 寒さに おしりの われめを すこしだけ 晒して つたえて…

 LUST

夜の街灯を 叩き割りながら 踊り方を 見つけよう 裸に レインコート着て 透明を濁そう 嫉妬が ソウルを ラバーにする ゴムで 口をいっぱいにして もぐもぐやるんだ よだれが アスファルトに 信号を描く 電信柱は みんなむかし 兵隊だった まっくら闇に うご…

 WORLD

階段一段あがって 手をさしのべないで 風を口笛で刺さないで 始末におえない 胸にひろがる じんましん 痒くて 毛布はきみの一部ではないから 服を着てドアから出て行かなけりゃ 床をひっぺがして消毒しなけりゃ 生きていけない 性欲に首ねっこをつかまれて …

 波動砲

皮膚が泡立っている 暑さに 寒さに 毛が逆立っている ああ これらが 表現していることは 生きることはつらいです 環境が破壊されています なぜ泣いているのですか 現代社会は瀕死の虫です 回送電車が脱線しています 生きているだけで死にたくなります 死ぬこ…

 アレイ

牛丼屋のカウンターが 海まで連れて行ってくれる 一直線にきみを 連れて行く わたしたち みなを 紙人形に して 水滴が 世界 と 言う 牛丼屋の カウンター で 加速する 発声 発生する 残飯 世界 と いう のは さしずめ 牛丼が 冷えて 固まっていく と 言う カ…

 ヘル

暗闇が膝をかかえて おまけに指をしゃぶっている ぺちゃぺちゃと とてもうるさい だあれも 孤独になんてなれないんだからっ 暗闇は ゲイバーのママみたいな口調で がなりたてる だれもっ ひとりになんてなれないのよっ わたしたちの襞に つまっているのは ケ…

 パントリー(ポエム)

daradaraするのは今日でおしまい ともだちがほしいからでかけよう かわいた目ん玉に目薬をさして ぬるぬるした爪にやすりをかけて 夜じゅう準備に追われるんだ もちろん眠るのも忘れない 眠ることを忘れると 明日がまた今日になって daradara してしまうから…

 バラッド

からだの 管という管に ぎっちりと つまっている 混ざりもの 口がずっと閉じない けれどまだ足りない フォントのさきっぽがちくちくするよ 散文が肩と肩をぶつけ合って メンチをきっている 目隠しをされたリズムが眩しくって しかたない 双子だなんて可愛い…

 SweetS

低い声で 自分の腹に手をさしこむ どうせ マヨネーズみたいな 脳髄だろう いいや あたしが全部のこと言うの ぜんぶのこといえるの 全人類によって振り回される世界のしっぽに 歯をたてて唾をふりまくことだって 言うの いえるの どうせ ケチャップみたいな …

 ENDS

きみのことをおもうと 内臓が腐っていくようなきもちがして ぐずぐずになる スポンジの石を海にうかべて そのうえに乗ってしまうきみ どうしよう どうしようと わたしの口の中は乾き いやなにおい たててしまっている だから きみが ぶくぶくと 裸のままニー…

 バウト

さあ 構えて そこから 跳ぶのに 必要なのは 煩悶じゃない からだの先端に 球をおく そして ゆっくりと つないでいく 呼吸で わたしは てのひらに 爪を くいこませて 跳びおりる 線の上に きみの手を ひっつかんで 走る 線の上を 走るうちに 球がずれていき …

 XXX峠

とてもねむたいなあ 孤島のような 山にかこまれた それとも あの山が 孤島なのかなあ ボールが 山に何個すいこまれて いったのかしら ゴムは ゴミに なったの ロックした状態の 自転車を こぎつづける 人間と 人間がつくった 機械と みんなで 山と山の 間に …

 鳩ハート

あたしは決してロックじゃない あたしが吐き出すガムや痰もロックじゃない 先のとがった靴をはいていても階段が鳴らない ロックじゃない けど あたしは履歴書の性別んとこを 真っ黒にぬりつぶしてから 修正液でロックと書く 準備はできてる ナンセンスなこだ…

 陽/円環

本能が 理性によって ひきつれて いるから とても ひとりで いられない と ひきつれて いるのだけれど いつでも わたしが わたしに 冷や水を ぶっかける 着替え や 子ども バスタブ や 靴 がちがちと 歯が 鳴る きみが どうやったら わらうのか きみが どう…

 パール

おとこのこたちが あいしあうのを みて オナニー してる あたしは この世で いちばん 愛に あふれてる あふれすぎて 殺伐 そして とても ホット ファンタスティックでも あるわ しつこく 形容詞で かざりたてて 絶頂 あとすこしで いけそう なんだ 汗が した…

 Call

犬みたいに舌をだしても 暑さからは逃げられない あの空にある雲は 外にでていった精子たちの かたまり 霧散する なにもはやさない種 ずっとかえらない卵 愛してると何度も歌った 数え切れないくらい 何度も何度も 対称が保たれていると どうして あのひとた…

 バーン

きみ どして そんな 難民みたいな 顔してんの 焦げた ハートに 骨抜きに されて くすぶってる ウォー とか 格差とか ぶつぶつ 言いながら コインを 弾く あいつの 頭に ぷちゅん と 貫通させ らんねえ かな って 妄想で やっと 交差点を わたる どして きみ …

 ララバイ

おしっこをがまんしてるから きみのはなし聞いてらんない うん うん そうだね うん 腹に手刀いれられて 腸がとびでてる 男の人が あれが 星 一番星だよ 腸は 腹には もどらずに うん そうだね うん おしっこをがまんしてるから きみのことが誰かわかんない …

 膜

鎖骨がいたむ夜半 にくむ にくんでいる ? ぱっかりと 足元には穴が にくむ ? それは どのようなこと 肉 無 ? ここからは もう 肉 だけしか ないような どれも 鼓動を もっていない 膿むのは 穴そのものではないことを 幼いころに知り たたずむ 木を 蹴り…

最近、詩が、また、ものすごく、おもしろい、と思うようになってきた。 それこそ、中学生みたいに、馬鹿みたいに。 多分、アスパラガスさん朗読会のおかげだ。ありがたいことだ。 というか、ことばってのがあることが、それこそ、奇跡みたいに感じる。 モン…

 ロックシター 兼 告知

ノー ダディー ドントリーブミーアローンヒアー て パティ・スミス が 言っている ユーリさんは ロックスターを もとめているのですが ハナモトさん そのことについて どう おもいますか ハナモトさん じゃ なくってもいいや ムラタさん でもいいんだけど ね…