波動砲


皮膚が泡立っている
暑さに 寒さに
毛が逆立っている
ああ これらが
表現していることは
 生きることはつらいです
 環境が破壊されています
 なぜ泣いているのですか
 現代社会は瀕死の虫です
 回送電車が脱線しています
 生きているだけで死にたくなります
 死ぬことはおそらく苦しいです
ああ それらを
表現したいのですね 


だまれ

だまれ

からだ を 棚に あげないで ください

生きているだけで 死にたくなります

死ぬ ってことが わからないから です

だまれ  

だまれ

なにも わからない くせに

なきながら ねむっている だけの くせに


信号が ピカ ピカ している
あれを 奇跡 と 呼びましょう
ピアノ も 弾けず
歌 も へたくそなので
そして わたしの ダンスは
みんなを 不快に させるだろうから
信号が ピカ ピカ している
と わたしは 声に出して 言うことに
それを 奇跡 と 
ガイスト が とおった と
声に出して 言うことに する
わたしは ピカ ピカ している
無抵抗の 骨の街を ムチ打って
灰色の公園に 響かせる
わたしは ピカ ピカ している のよ


いつかは 死ぬから 大丈夫です
傷の あとが どんなに 汚くっても
いつかは 死ぬから 安心です
涙 と 汗 と 唾 と 
おしっこ と うんち と で
わたしは カピ カピ しています
公園の 水道を 上に 向けて
虹を つくる カピ カピ を
水で 洗い流す 
嘘を つきました
洗い流したら なにも なくなりました
傷なんか ありません でした
きたない だけでした 
吹き出物 や 毛穴 が
ある だけでした 


ピカ ピカ している
窓の 向こうが ピカ ピカ
している 遠くに 森 が
みえる 遠くに 植物 が
死体から 生えている
あれは わたしの 大事な人
虫が たかっている
虫を 手で 払う
どいてよ どいてよ 
叫びながら どいてよ どいて
 生きることはたたかいです
 生きることはおもらしです
 生きることは環境破壊です
 生きることは現代社会です
 生きることは北極南極です
 生きることは回送電車です
 生きることはピクピクです
 なぜ泣いているのですか
 なぜ泣かないのですか
 泣けよ
 足で顔を
 蹴りつづけて 
 やるから
 なぜ泣いているのですか
 生きているだけで死にたくなります
 死ぬことはおそらくさびしいです
 生きていることはさびしいです
きみに 会いたいのは
ただ さびしいからでしょうか
きみが 憎らしいのに
抱きしめたいのは
死ぬのが こわいからでしょうか
気持ちを 言葉に することなんて
できるわけが なかったのに
なにも できないから
言葉 以外 なにも
遠くに 投げるものを
持ち合わせていないから
ピカ ピカ しているよ
あの ピカ ピカを
きみにも 見せてあげたい