アレイ


牛丼屋のカウンターが
海まで連れて行ってくれる
一直線にきみを
連れて行く
わたしたち みなを
紙人形に して
水滴が 
世界 と 言う
牛丼屋の カウンター で
加速する 発声
発生する 残飯
世界 と いう
のは さしずめ
牛丼が 冷えて 
固まっていく と 言う
カレーライス を 食べた
あとの スプーン だ 
太陽 は ラブ という
サクラ は 犬 という
潮の 香り が
してきただろう
風に吹かれるビキニが
死を歌っているだろう
肉体は 様々な 時間
さまざまな 腐り を
もつ 祝祭だ
砂に爪をたてて
残していく
わたしたち とは
まるで 違う
消滅の 仕方を
経験するだろう
その 髪の毛 が
ペットボトルの 口 を
縛りつける
ゆるやかな 曲線に
たゆたっている
泡 が 
反射する 世界
もう 一度 信じようか
ゴミ箱に 湧き上がる
機械の ムシタチの
ことを ムシタチの
入口から どろりと
はみでている 発光体の
ことを 信じよう
牛丼屋の 外から
聞こえる 雨音 が 
海に 吸い込まれていく
がさがさ と
ゴミを あさる
手を 粛清する
汚れきった
海に 並行する
牛丼屋のカウンターが
あえぐ 歌を
もう 一度 聞こうか
爪に ついた 汁を
なめて 汚れきった
爪を 歯で 噛みちぎり
残していこう
もう 一度 歌おう
肉体は 
海に 並行する 牛丼屋の
カウンターに 貫かれる
祝祭だ 
あつい 回転が
飛び散らせる 七色が 
色あせる まで
騒ぎ は やむことが
ない
鈍い 音 が
ぶつかりあう
胸 
喉に
固まる
油を
かきだし
指で
あたため
溶かし
また
喉に
おしこむ
カウンターに
耳を
おしつけて
祝祭 が
おこす
被膜だらけの 歌

  歌 を