/ろう


読み解かれるための
内臓をさらして
傘を裏がえす
猫をなでるように
時代
時代と
言う
ひとの
耳元で
トキヨ
トキヨ

もう
死んでしまった
女の子の
名前を
叫び続けて
いたい
まだ
生きている
女の子も
いる
というのに
傘を置く場所を
探して
骨を取り出す


言いきらなければしごとにならない
というならば
餓えてしねばいいのです


干された
果物を噛むときの
湿度で
ち に
ふれる
トキヨ
トキヨ
どこかにいる

きよ
彼は
乾いていく
わたしの耳を
つぶすかわりに
声が
突き刺されば
つきささ

傘の錆びが
足に
降る
生きた
女の子の
名前だけ
呼ぶ
わたしの舌


餓えない