XXX峠


とてもねむたいなあ
孤島のような
山にかこまれた
それとも
あの山が
孤島なのかなあ
ボールが
山に何個すいこまれて
いったのかしら
ゴムは
ゴミに
なったの
ロックした状態の
自転車を
こぎつづける
人間と
人間がつくった
機械と
みんなで
山と山の
間に
道をつくったんだよ
白い線をひいて
ガードレールも
定間隔
カーブ、
 カーブ
けれど
1週間
誰も通らないの
自転車は
空回りしつづける
頭の中では
数億の観客が
数億のギターソロプレイに
拍手しつづける
熱狂で
胸に穴があく
空しい なんて
くすぶってる なんて
思わない
思ってる
もう 終わってしまうのかなあ
日が 暮れてしまうのかなあ
とても ねむたい
サルが
山から降りてきたよ
蛾が
ただひとつの灯りに
焼かれているよ
いもむしが
土を探しているよ
けれど
定位置 
少しずつ動きが鈍っている
それを
知っている
お母さんの血の色は何色?
みたいなあ
とても
ぶちゅぶちゅ
と したいなあ
おしりが いたくなってきた
大の字になって
いもむしを
つぶした
ああ 黄色い血
すっぱだかだから
身を起こして
ヘッドライトだけが
通過していく
お母さんの血の色はわからない
わかりたいなあ
幽霊の車は
わたしに
服を着せていく
誰も来ないよって
合図だって
気づいてるから
1週間かけて
服を全部脱ぐ
裏まぶたで見るの
背中に
赤 黄色 緑 オレンジ
クリームいろ 黒 青
いもむしたちの 血 れきし
赤ちゃんが がらーん
と どっかで ないた ないた