バウト


さあ
構えて
そこから
跳ぶのに
必要なのは
煩悶じゃない
からだの先端に
球をおく
そして
ゆっくりと
つないでいく
呼吸で
わたしは
てのひらに
爪を
くいこませて
跳びおりる
線の上に
きみの手を
ひっつかんで
走る
線の上を
走るうちに
球がずれていき
カンカンと
まんなかで
ぶつかりあう
線が消え
きみは
手をふりほどいて
殴りかかってくる
殴る
殴り あう
風 が
ふいて
いる いる
髪 だけが
ゆれる
ゆれる
肉 だけでは
ない ない
みっともない
脈 脈
泥に 泥を
ぶつけて
波紋だ と
つぶやく
けれど
きみは
亡霊じゃない
肉も
血も
土に
引かれ
しみこむ
わたしの裸も
はあ はあ いう
口も 舌も
ネタなんかじゃない
わたしは
震えたつくらいに
好きなの
その からだが
髪が 血管が
額が
ネタじゃない
わたしは
この世に
垂れ下がる
ケロイド
みたいな
からだが
好き 大好き
きみのことが
ほんとうに
好き