SweetS


低い声で
自分の腹に手をさしこむ
どうせ
マヨネーズみたいな
脳髄だろう
いいや
あたしが全部のこと言うの
ぜんぶのこといえるの
全人類によって振り回される世界のしっぽに
歯をたてて唾をふりまくことだって
言うの いえるの
どうせ
ケチャップみたいな
思想だろう
窓辺で
かいぶつが
わざとらしく
獲物を口からはみ出させている
わざとらしく
わたしは目をぎらぎらとさせる
わざとらしく
あたしが全部のこと言うの
わざとらしく
次にやってくるのは
一色の脈ばかり
わたしの皮膚が
かいぶつの口から
垂れ下がっている
紙みたいにうすっぺらだと
つぶやく
低い声が 腹の中で
うごめく
飛び散るよ 飛び散るものが
一心に つまっているのよ
グロテスクが 骨までしみついて
いるよ おまえ
目をつむると 会う 暗闇にも
いるよ おまえ
写真を燃やしたような ぶつぶつが
あるよ 汚いね
わざとらしく
おまえのこと 愛してやるから
わざとらしく
ひとりで 言ってやれよ
あか しろ あかあ しろい
くろ が ずっと やって こない
気持ち悪い 手足の うごめき
つきさすでしょう あたしのこと
いいや 
もう 声は 外からしか聞こえない
たましいをひっぱがされた腸が
かいぶつにも残されて
アスファルトにくっついている
産毛が かいぶつの
腹の中から 発光しているよ

わたしは まだ 
未練がましく 愛そうとする