ヴィシャス


わたしはおまえの血を入れかえることはできない
ロックにはない悲鳴が駅に吹きだまっている
ロックにはない ロックにはないんだ 
この 意図された 傷を
舐めておくれと 言う
友達のことを 本当は
汚らしく 真ん中あたりから
食べてしまいたい
そうしたら 死ぬんだろう
わたしたちの
心の中の 草木が
線路を 憎むようになる
氷砂糖をほおばる 口を
マイクに つけて 腰を
ふる 汗じみ 煙 
ロックにはない
わたしは友達の血をほじくりだす爪をもたない
彼らは 固まることを 知らない
パイソン柄 と ペイズリー柄
組み合わせて リリックを 書く
そして がなりたてる
死ね 死ね
笑ってるやつら
全員 死ね
死んでから
なにが 可笑しいのか
かたかた 言いやがれ
ロックには ないんだ
その 金属は
僕には ないんだ
妻が いない
控えめに 振りおとされる
金属が 言う
妻が でていった
ロックには ない
街はどこもかしこもいろとりどり
上 も 下 も
歯 も 舌 も
ビーフシチュウ
そして
かき氷 綿あめ
こどもたちは
だあれも
わたしたちのなまえ
しらない しらない
かたかた と
坂を 転げていく
わたしたちは
だあれも
悪漢がもつ
粘膜のピンクを
いたぶることができないね
皮肉を言う半ズボンが
自分の皮ジャンのにおいをかいで
顔をしかめる朝
ここは
その程度の
地獄で
友達は
にやにやと
眩しそうにわらってる
サイコーだったよ
サイコーだよ