そしてスーパーマーケットに行って食べ物を買いに行く

わたしは真実を言わない
それは
わたしは真実を知らない
と同義ではない
わたしは真実を知らないわけではない
と同義でもない


そこに並び立つ
肉の奥にある
闇が
沸騰するとき
誰かが
言うのが
YEAH!
だとか
踊れ!
だとか
であるとき
雨が
降ってくる
火傷する
ほどに
冷たい
雨だ


わたしは濡れる
それは
わたしの上に屋根がない
と同義ではない
わたしの上に空がある
と同義でもない


物理的な
直線や
曲線を
まばたきで
かえることが
政治ならば
1枚の紙幣を
片手で
破ろうとする
この
片手が
小さいもの
あるいは
中くらいのものの
動きを
とめる
そして
動きを
とめたものは
二度と動き出さない
これは
なんだ


名前をつけてみるがいい
どんどんと
黒い煙をまきちらしながら
笑いながら
名前をつけていけよ
はやく
はやく
どんどんと
かたちを失っていく
濁った色の骨にこびりついた
仕事や関係性
そして病気
欲望や方向に
名前を
はやくしろ
目を細めている暇なんてねえ
ずっとやりたかったんだろう
ずっと
名前をつけたかったんだろう
そうして
へらへらと
笑いながら
窒息するまで
味のついた水を飲め


雨は一層冷たく強くなる
そして
人が住むところは
一層高く険しく
切り立った断崖になり
なにかの残骸が
足元まで
迫ってくる


朝になれば
夜になれば
おまえの名前は時代遅れ
足を抱えて眠る
汚れた道や
壁を舐めてまわる
ばかでかいタイヤ
すれ違っていく
腕や足に
浮き出た血管が
ただそれだけで
ただそれが血管で
あるだけで
恐ろしいのにな
ばかでかいタイヤに
掠められて
それだけで
心臓が収縮するのにな
地べたに座り
横になり
足を抱えるだけで
腹の中が温くなるのにな
なあ
それでもまだ名前をつけたいのか
なあ
それでもまだ名前をつけたいのか


そうだ
名前をつけたいんだよな
なあ
それなら
おまえはなんと呼ばれたい
なんと呼ばれたいか
決められもせずに
おれは
なんとも呼ばれないんだと
足をくみかえて
そうだ
おまえは
なんだ
おまえは
なんなんだよ


わたしは真実を言わない
ただ
目をつむって
肉の中に闇を浮かべる
その闇のなかに
ガムのような欲望を
親指のはらで
こすりつけて
額を
つける
目をつむって
YEAH!

踊れ!

言わず
カウントも
せず
打楽器に
砂を
めいっぱい
つめこんで
肉に
ぶちあてる
静かだろ?
静かだ
肉の中に闇が
かわらずに闇がある
ただ
目をつむって
雨が
やむ