イシ

さあ
いまから
おまえのきらいな
わかってないやつの
ふりをしてやるから
めをそらしてみろ
あるくあしの
ひとつひとつが
たてるおとに
みみをふさいでみろ
わたしは
感謝するただ
ことばを
もてたことに
くちをあけっぱなしにして
感謝する
ただ
おまえに
おまえの
顔を
なめまわしたいくらいに
さあ
もしかしたら
つばがとぶかもしれない
とおくにはなれてもいい
ただ
ほんとうに
感謝するよ
ことばを
もてたことに
いえが
あることに
いま
あたたかいということに
いま
ほんとうに
胸糞がわるくて
幻想の殴打を
くりかえして
ああ
透明な血がとびちってる
鼻がおかしくなりそうなくらいに
透明な腐臭がそこらじゅうに
なあ
遠くからでもわかるだろ
おまえの靴にも
とびちった
飛沫が
みえるよ
わたしのよわい目でも
いま
ほんとうに
怒っていて
そして
感謝するよただ
目をそらすおまえに
黙ってなにかを反芻するおまえに


さあ
いまから
おまえのきらいな
かくいつてきなしこうってやつを
えんじてやるから
ののしってみろ
わたしの
顔に
おまえの
顔を
近づけて
キスができるくらいに
近づけて
言ってみろ
わたしは
決して忘れない
おまえが忘れたとしても
おまえがひきずってきたセックスや
おまえが吐き出した銃弾や
わたしのほころびを縫った糸の太さや
決して忘れない
おまえが忘れたとしても
裸足で
布をひっかぶって
あたし
ママ
ちーちゃん
コーク
って
言ってる
子が
隣の部屋にいるってことを
知ることだってできない
ただ
遠くの音が
夢の中できこえる
つかまれ
つかまれ
罵りながら
つかまれよわたしに
はやく
時間がないから
わたしたちはみんなミミズだ
土にあとをのこすやりかたで
それが
どんなにかっこいい
武器や
どんなにおおきい
音を
ともなっていても
液体
コーク
ミルク
コーク
ミルク
スープ

スープ

ミミズだ
飲み込む
飲み込め
けれど
わたしは忘れない
わたしのほころびから
いつも肉がはみだしていること
感謝する
なあ
だから
お願いだから
つかまれ
わたしにつかまれ


さあ
いまから
たいそうな
ことを
いうから
よくきいていろ


あんたはイカレてる
あんたはイカシてる
あんた、それはまるで暴力的
あんた、それはまるで芸術的
あんたはイカレてる
あんた、それはまるで天才的
あんたはイカシてる
あんた、あした死んでも
後悔はない、あんた、
あたしは、
そんな理由で
あんたを運命の男にする趣味はない


時間がない
はやく決めろ