半分の


その鳥
目は半分だけ開いて
膜を
かたまったミルクみたいな
つぶつぶが
ふちどっていた


野蛮だな、手


風に吹かれて
荒れないなんて、嘘だ
と思う、
風が強くて
雨が強くて
そういうことに
ちじこまらないなんて、嘘だ
と思う、
けれど
どこへ行きたいの?
背中にタイルをならべて
硬くしようとする恋人と
手をつないで
その鳥
足をひろげたまま
かたくなって
つめたい


野蛮だ、手


わたしたち
家にはティッシュ
あって
ティッシュをひきだす音を
しっている
わたしたち
ここは日本


野蛮な、手で
毛をお風呂で剃ったり、
外の音を遠く聞いている、
ティッシュの音に
まじりながら
くしゃくしゃ
口をあけた
鳥に
怯える
からしいわたしたちでも、
この
野蛮だね、手で、
潰す
かたまったミルク
のようなつぶつぶと
膜、くろい水晶体、
潰すことができる
だから
わたしたちはいないんだよ
わたしたちは
いなくて
そして
潰す


ティッシュごしに
恋人の
硬い部分をさすって
その鳥、
野蛮なまま
ちじこまっている
考えている
ずっと
つめたくて
かたい
その、部分について


部屋のすみに
パンくずと
水たまりが
あると
思う