欄干

廊下に内臓が転がされている
なぜでしょうね においがない
鼻歌や 空耳ならば
だれにでも 落ちてくるので
すくわれない 5本指を
めいっぱい くっつけて
めをつむれば いい


その まぶたの うらに いる いろが うそ


わたしが きみを 殴りたいのは
きみが わたしに 救いを 求めれば 
いい と 感じるからで
けれど きみは 誰かのことを
頭 や 空 に 泳がせる
誰かに 話しかけ
傷ついた 顔をする
ことを わかって いる から


ああ あれは だれのものでもない ラッパの音


5本の 指を つきのばして
めいっぱい くっつけて
目を 開ける
内臓が やっと 崩れたよ
においに 顔を しかめては
いる
わらいました わらいました


やっと きみが 死に向かって 歩きだすのを みる