銘記
おんなのこたちへ
そらがとてもきれいだよ
うみにはさかながおよいでいたよ
でんしゃはすてきにみどりをゆらすね
みんなのこと きらいだった
とても きょうぼう だし
ひかりを ぶつけてくるし
それは とても とげとげしていた
(きれい わたしは おとこのこのように よわい と 信じたかった)
うそばかり つくし
なみだで きずに ふれて
じぶんのは きれいに なおすのに
ひとのは ふかくする
(すき わたしは おとこのこのように ぼろぼろだ と 言った)
おんなのこたちへ
そして
なによりも
わたしへ
もう いいんだよ
ひどいかおを していても
どろどろが みちに まきちらされても
うしろゆびを さされても
いいんだ
きゃらきゃらと
ないぞうを ひっぱりだせば
からっぽなことも
みたされたことも
あるから
もう いいんだよ
この ことば
この たんご
この られつ が
あしたにはすっかりうそになっても
だれもがすっかりいなくなっていても
もう いいんだ
おんなのこへ
みちばたのおとこのひとや
みちばたのおんなのひとが
いう
つよい こわい よわい うそつき を
ききにいこう
あのときは
すっかりばかをやったね
わかってなかったね
と
いつか いえるように
やってみようか
きみと いっしょに
きみが どれだけ きみか わからなくても
わたしが どれだけ わたしか わからなくても
やってみようね
しっぱいを たくさん やろうね
いきていることが しっぱい
うまれてきたことが しっぱい
だから
しっぱいしないようにって おもっていたんだよ
とても じょうずに しねるように と
けれど もう いいんだ
わたしは おんなのこになる
とても おそい あさに めざめて
ふるえながら はじめての しっぱいを する
おびえながら どこにでもある 木の実を ひろう(わるい こと です)
おんなのこたちへ
うみにはさかながおよいでいたよ
わたしちゃんとそれをみたよ
えいえんの うしろすがた
えいえんの おくれげ が
わたしを うみに ひたして
とても きれいだね
とても きれいたね
みんな
とても きれいだったんだね
( )