おうろり

うわくちびるが
きれている
じっとして
いると
剥け
風に
コートを
ひきずって
ぬかるむ土を
待っていたら


薄くなっている部分を押した
わたしは壊さなかった
砂粒を払って
いつか塞がった空気穴を
わたしの後ろ側に
感じる
ひきつれる
あたまの中の舌
ツバメが
固まったよ
けれど
くるくるとまわって
おちない
わたしは壊さなかった
薄くなって
うわくちびるが
きれて
いる


肘や膝に
木くずのような
傷がついた
これはたぶん

ここには突風は
こない
けれど
山のなみせんが
機械鉄砲の
音でも
翻るあかさたな
の声でも
ずれてはもどし
冷気に
いろをうしなう
木くずに
木くずを
擦りつけて
いたい
よういたい
ようい
たいよう
薄いところでも
みつづけていたら
いけない
唾を
ぬぐって