ア・ラウンド


口笛をふいていた
暗くなるまで
暗くなってからも
円を描いてく
遠回りの最中


飴がとけたよ
もうひとつある
チョコを噛み砕いて
もう片方だよ


汗ばんだ
手の縁を
あわせて
たね、
これ、たね、
で、
ずっと、
黙っていた
喉が、
かすれた、
おと、だして、
たね、ね、
これ、
しる、たらすの
はっぱの、
しる、たらして、
なめる、
の、
そまる、
けど、
うめたら、
たね、
これ、たね、
だから、



まばたきの瞬間みたいに
水辺は暗くて
ふちを歩いているの
浅瀬だよ、そこは
泥なんて、そのふちには
やってきてないの、
まばたきの瞬間みたいに
へだたっている
裏側にも
わたしたち、いる、
が、いる、



わたしは
あなたたちの目を
つぶそうとした
鋭いものや
まぶしすぎるもの
暗やみや
噛み砕くために
走る足あと
眠るときの
馬鹿みたいな温度
わたしは
あなたたちの目を
つぶしたくて
ねえ、
けれど、
ここは果てなんかではない
ずっと黙っていた
喉が
かすれたおと
たてて
それでも
たね、きりたっているの、
たね、きりたっているのよ、
  、が、いる、
どこ、ここは、
ここは、遠回りの、
夜、
ガムを噛んで、
わたしたちのくちのなかに、
うすぼんやりとした、朝が、あって、
ここは、
遠回りの、水辺、
虫が泳いで、みえるでしょ、
裏返っている、魚も、



これ、たね、
うすく、きずがついた、
きりたって、
つちにうめよう、
これ、たね、
ポケットのなかで、
たまに、にぎって、
途中にある家に帰り、
つちにうめよう、
口笛をふいて、口笛をふいて、
うたはだまって、喉をかすめる、
うたはだまって、遠回りの最中、