右手でだれかの頭を撫でながら
左手で草をずっとちぎっていた
所有したい
と言えよ
所有したい

正しさを
力を
所有したい

そうすれば
わたしはまるまり
先端をすべて
握りこみ
吠える
所有しろ
正しさを
所有しろ
力を
所有しろ
間違ったおまえになら
わたしは草を投げつける
においが風にのる
それだけのことだ
わたしたちは
みんなよちよちあるきで
行き先を指し示しているつもりで
けれど
すべてに弾が当てられていった
つながっていたものが
ばらばらに
なった


線路が
焼かれて色をかえた
どれくらいの時間がたった
車が空の上に留められていて
ずっと動かない
走ったまま止まっているひとたち
ねばつく線を引きながら
止まっている
白い横断歩道が
光に吸い込まれていく

移動し続けるのは身体
けれど
手も足も言葉も知識も
すべてとつながることを
なくしたわたしは落ちる
土に汚れることもなく
血にまみれることもなく
かたちがない
移動し続けるのは身体
けれど
もう
回転する
速さも
方向も
わからなく
なって
爪がもう
伸びない
けれど
吠える
どんな声で
吠える
どんな声ででも
吠える
小さく
口をむすんだまま
吠える
見える空が歪む


所有しろ
何も持たないおまえが
何を捨てられるというのか
見える空が歪む
見える空が歪む
空を間違えろ
吠える
どんなことをでも