すとん

生活の音が
わたしの心臓を
脅かす
おにいちゃん
おかあさんを
かえしてよ
お墓が
点在しています
109
IOIO
HILL S
手を合わせている
のは
ホスト
棒立ち
麻雀
わたしと
あなたたたちは
みな
別居ですね
わたしの
家に
住んでは
いません
あなたたちの
家の
間取りや
あなたたちの
持ち物を
わたしは
知りませんね
窓を
開ければ
風が
あるのでしょう
だれも
住んでいない
建物でも
手が
やってくる
ビールが
飲み干されず

おとうさん
あなたの
文字しか
しりません
あります
ふらつきや
腹下しが
遠くで
スリップした
タイヤが
こそげとる
アスファルト
ような
現状として


トイレへの数歩が奈落 
おにいちゃん! おかあさんをどこへやったの
おにいちゃん! あたしからおちんちんをきりましたね 
おにいちゃん! 抱っこひもとまちがえてきりましたね
おにいちゃん! おかあさんはだれと手をつないでいるの
痛みに結果が常にあると思ってはいけないですね
幼児のわたし 少女のわたし 青年のわたし
芝生の上に座り ちくちくする うれしい と
言いあう わたしたちは どれも
痛まず ないのとおなじ いいえ ない 
おにいちゃん! おかあさんを どこへ やったの
街に 放り出したの
あの坂に 突き転がしたの
あんなに ネオンが くるくるするのは
そういう わけなのですか トイレへの数歩と
おなじ ネオン ピクニックのような ビル群
いつも ゴミまみれで かわいい 草


おにいちゃんは
おかあさんと
別居です
雨降りの中
走りつづける
白い軽自動車の中で
おとこのこおかあさん

平成になりました
という
ニュースを
聞いています
みな
大きい声
静かにすこし
静かに と
言い合います
別居です
わたしのからだは
とっくに
おかあさんと
別居です
おにいちゃんは
ふりかけを
拒否し
わたしたちの
お墓を
指さしています
もう
遅い時間
わたしは
あなたたちと
別居の家に
お墓を
通り道にして
帰ります