バイオレンス!バイオレンス!セックス!


閉まりきらない
わたしの蛇口に
プロレスラーが
喰いこんでいる


閉まりきらない
わたしの蛇口から
刺繍された
所属が
ひっきりなしに


閉まりきらない
わたしの蛇口は
錆びるひまもない


黙って
殴られつづける
鼻から
口から
目から
溢れる

いろ
嗤い

舐めとって
また
嗤い
顔を
あげたら
また殴られ
遠くで手が振り上げられる


閉まりきらない
わたしの蛇口は
閉まりきらない
わたしの蛇口が


おしっこを漏らすみたいな不幸です!
女の子たちは土にもぐって
朝も夜もわれを忘れた!
失神する細い枝
失神する空
スプリンクラーのようなからだ!
失神する
女の子たち



閉まりきらない
わたしの蛇口に
食い込んでいる
プロレスラーの
リングネームは
ユニコーン
ユニコーン
裸で学校に忍び込んで
廊下を腹ばいになって
すべる!すべる!すべる!
そして
わたしの蛇口に
たどり着く
何度でも
わたしの蛇口に
たどり着くの!
ユニコーンという
大地から
引っこ抜かれた
角の先
血が固まっている
穴ぼこだらけの大地こそが
ユニコーン
彼は
わたしの蛇口に
たどり着く
パンツの中から
すべてを取り出す



失神した
女の子たちが
失神した
まま
首という首を
しめあう
ユニコーン
ユニコーン
ユニコーン
といって
殺戮の限りを
つくす
失神した女の子たちが
失神した
ままで
この世のすべての
男の子たちは
すべて
プロレスラーで
この世のすべての
男の子たちの
リングネームは
ユニコーン
学校の廊下をすべる
すべる!すべる!すべる!
わたしの
蛇口は
そのときに
腹が感じる冷たさと
廊下のぬるさに
震える
女の子たちが
いっせいに震える
ので
土も震える



ユニコーン
殴られて哂う
わたしも
殴られて哂う



なんて!なんて!なんて!なみだ!