ムジカ


いちごのにおいがする冬
工場に吸い込まれていくひとたち
暗くなるまで逆上がりを練習するわたしを
迎えにくるしらないパパ
しらないグランパ
口笛を吹く
そのつぎは
スキップ


ハラショー!
コングラチュレイション!
ファビュラス!
ステキ!


テトラポッドみたいな彼を
わたしはとてもあいしてた
ウサギを抱くと
ウサギは彼の肌が硬いことに
驚いて震えた
みて
わらってる
わらってるのは
プロレスラー
みんな
いちごのにおいのする
冬に鳥肌をたてながら
わらってる


わたしの一部がふくらんだり
もとの大きさに戻ったりするうちは
わたしはテトラポッドみたいな彼を
とてもあいしていて
あいしつづけるとおもう
工場でミンチになる肉が
わたしたちを踊らせる
工場で揚げられる魚が
わたしたちの下まぶたに
まっくろいアイシャドウを塗らせる
工場でラップされる棒が
わたしたちの腰やお尻をシェイクさせる


トラ!トラ!トラ!
キツネ!ステキ!キツネ!
ステキ!
わたしたちのうえに
突然にみずあめが降る


わたしは
あたりまえみたいに
うごきをとめたい
そして
テトラポッドにシミをのこして
テトラポッド
生きているにしろ
死んでいるにしろ
わたしの愛は
かわいいままでいる
ちんちんみたいに
わらいとばされる


ハラショー!
チュー!
バッカ!