タッチ・ミー・アゲイン (ビーボーイコミックス)

タッチ・ミー・アゲイン (ビーボーイコミックス)

わたしが、ヤマシタトモコの漫画が好きなのは、多分、は?なんで?なに?なにが起こっちゃったの?というぐらいにセンチメンタルで、ずーっとぐちぐちしてるんだけど、ときどき思いつめた結果、しかし、周囲には思いつきで唐突に思われる、ものすごいムリのあるユーモアを押付けてくる感覚が、これでもかと全編にただよっていて、ものすごくイビツで、それが生理的な感覚として直接に突き刺さってくるからだろうなと思う。特に今回は、「くいもの処明楽」よりも、その傾向が非常につよい。それは多分、ずっとポーズしかとれない人が、ほんとうにときどき、一瞬、本気になれるし、そういうものは心臓の奥底にあるんだ、というのを、ゆるやかに、けど、非常にムリのあるかたちで、信じさせてくれるような感じがあるから。そいで、このイビツさってのが、端整なんだけどものすごい下手なような気もする絵にもあらわれているし、他の人から受けた影響を口をあけっぱなしにして見せつけるときもあってしまうような感覚で、もう、すごいのだ。なんつうか、こういうイビツさに泣ける感覚はBLでしか成り立たないだろうし、もし成り立っていても、わたしが「うわー」っとなって好きになれないだろうと思うと、なんか、とっても鬼畜な感じだけど逆にありがたいことでもあるのかなあと思ったりする。いや、ちがうかなあ、イビツさをものすごく生理的に感覚して、感じる感じがあるのがBL限定って感じかなあ。だから、鬼畜な感じがするのか。まあ、どっちでもいいんだけど。これは、背徳感とは違って、恥、みないなもんかなあ。なんつうか、目が遠くなるなあー。いやらしくて。それは自分がだし、自分のレンズが、でもそれが気持ちいいってことがあんだよな、ってことか。ドライアイ。