香港映画祭+「神探」

cream082007-10-25


「鐵三角TRIANGLE」

今回5本見たなかでは、一番おもしろかった。かつ、あとから考えると、いままで見た映画のなかでもかなり上位にくい込むおもしろさだった。
なんだろう、なにかすごく大切な謎みたいなものをみんなで運んでいる感覚で見ているんだけど、それがどんどん霧散していって、なくなって、それがとっても可笑しくて、ああ、なんか、そうだよなあ、そんな感じなんだよなあと笑いたくなっちゃう感じ。でてくる人間がなんだかズレてて、バカみたいなんだけど、魅力があって、転がる転がる。あと、音楽がどぎつくってよかったなー。あー、もう1回みたい、すぐに見たいーー。


「神探 MAD DETECTIVE」(ぐはっ、アンディ・オンの名前間違ってた、、ヤバイ。。)

人の内面がみえる元警官という設定は、なんとなく漫画のホムンクルスを彷彿とさせる。全然描き方は違うけれども。一応、人格とか鬼とかと言っていたけど、どっちかっていうとひとりのひとの葛藤とか迷いとかが人の形でみえるという感じだと思う。とにかく、その人格が立体的にみえる、ということが映像的に抜群におもしろい!!!冒頭で、ラム・ガートンがひとりで歩く映像と、ブン(ラウ・チンワン)が見える7人の人がならんであるいて口笛ふいてる映像が重なるとこなんか最高でした。実際にこの表現の裏にあるのは観念的だったり思想的だったりはたまた宗教的だったりするのだろうけども、そんなことはおいておいて、映像的な表現としてほんとおもしろい!最後のシーンの表現もおもしろかったし。ただ、それだけで満足です。で、ティーチインで「整合性はあるんですか?」って聞いていた人がいて、そのときはそんなこと聞かんでもとか思ったんだけど、確かに聞きたくなる気持ちもわかって、もう少し聞き方をかえれば、おもしろい答えが聞けたのかもなあって思いました。なんでかっていうと、分裂している感じがしていて、それはブン自体が分裂しているし、世界も分裂しているし、ホー(アンディ・オン)も分裂していくわけですよね、で、なんというか、それぞれが見てるものとか、それぞれの人とかがもともと整合性を持っているかどうかが危いってことが感覚としてひしひしと感じられるわけで。森の中で、突然でてくる、ラム・ガートンがここからでられないんだけども、みたいなことを言うシーンが好きで、で、それは最後まで回収されずに映画は終わるんだけども、そういう混沌があって、でも、なんだか、寂しい感じもして、好きでした。この、最終的にどういうかたちになっても、この映画はおもしろかったんだろうなと思える、勝手にできあがっちゃった感も漂っていて、ああ、こういうのが好きなんだよね、わたし、と思ったわけです。実際に、可能性がある鬼は全部撮ろうと思って撮って、で、映画に必要なものがどれか考えて、没にしたりしたとティーチインで言っていたけど、そういう意味では整合性はないっちゃあないだろうし、逆にそれがおもしろいんじゃなかろうか。
あと、ラウ・チンワンのどろーっとした目が素敵でした。アンディ・オンもこういう役ができるようになるとはね(まあ、まっとうできているかは別にして・・・)。


「父子」
久々にこういう映画をみたなーー(遠い目)。時間の長さはあんまり気にならなかったけど、とにかく、日常が降り積もって降り積もって非日常になる、みたいな映画で、非常に息苦しかったですね。確かにひどい父親だし、母親はおよび腰だし、けど、どちらもちょっとあたりをみわたせば、おちていそうな日常。けれど、他の人とは隔絶している日常。あと、こういう映画はでかい劇場で見るもんじゃないな、音でかいよ。。小さい劇場のうしろのほうでぼーっと見て、自分もしみったれた気持ちになるくらいがいいと思う。とにかく、アーロン・クォックの声が耳につきささって、つきささって、わたしも怒られてる気分になってました(苦笑)。


「男兒本色」
ニコラス・ツェーが、私が興味がもてないいつものニコラス・ツェーになっていた(爆)。プロミスでは最高だったのに!!!!いろいろと、おもしろく見られたんだけど、どうしても、これまでのいろんな映画のちょっといいアクションシーン、ちょっといいドラマシーンを持ってきてつなげたら、できた、みたいな感がしてしまうのでした。。あと、さあ、いまからワイヤーでとぶよっみたいな感じでアクションが行われるので(特にニコラスが・・・)、おお、そっか、がんばるんだね、とか思ってしまうのですよね。。ワイヤー別に全然嫌いじゃないんですけど、あくまで普通の警官がやっているという設定なので、もうちょっと、ね。。
おもしろかったところとしては、ジェイシー・チェンががんばってたところ。つか、泣き方と泣き顔がジャッキーそっくり!!!!!!!!ほんとに、そっくり!!!!!しかも、監督ベニー・チャンだし、あえてやらせてる??(爆)。
あと、呉京の出番が多い!!!でも、大陸ドラマでの呉京を見慣れすぎていて、「心なんか必要ない」みたいなこと言われても、笑っちゃうよ。。いや、アクションは悪役然としていて、ああ、アクションにおける演技は相当なもんだな、動きがキレまくってるしと思うんだけど、SPLでは台詞あんまりなかったし、全然よかったんだけど、今回台詞も多いし、なんか、どうなんでしょう、、あんまり呉京を見慣れていない人には普通に見られるんでしょうか??わたしは、なんか、彼には思いいれが強くて、やっぱり、辮髪好きとしてははずせないし、、けど、、演技ができるともいえないし、アクションはすげーけど、悪役をうまく演じられているようには思えないし、、顔も微妙だし、、彼はこれからどうしていけばいいんだろう、とか思ってしまって、余計なお世話だけど。。心配です。うーん、けど、動きはキレまくってた!びっくりした!なんか、大陸ドラマとか古装片ではあんまりすごさを感じないんですけど、麻痺して、けど、こうやって現代劇でみて、他の役者がアクション俳優じゃなかったりすると、君、すごかったんだね!とか思いました。。あと、イタッて言ってたのが素敵だったよ、、ちょっとリンチェイに感じるトキメキと同じようなものを感じたよ。。
映画としては、若手を集めたってのが売りなのに(多分)、こんなアナクロな映画つくってていいんだろうかと。。正直心配になったりも。。いや、おもしろかったはおもしろかったんだけどね。


「天堂口」
なんか、香港映画祭の最後に、北京語の映画を見るのは不思議な感じだなー、改めて思うと。
えーっと、リウ・イェと張震を見るのは楽しかったし、スー・チーは可愛かったのですが、映画としてはよくここまでつまらなくできたな!という感じが。。
まず、なんでそんなに画面が白っぽいの!?これではまるで、日光江戸村で殺陣ショーをホームビデオで撮影したものを見ている気分だよ!もうちょっと雰囲気を考えるべきでは!あと、筋を追っているだけ、Aがあって、Bがあって、Cになって、Dです、はいおしまい、みたいな、感じがした。人物が誰も魅力的じゃないし、人間関係が表層的にしか描かれてないので、誰にも感情移入できない。あと、もうちょっと流れや時代に押し流された感が全体の雰囲気として漂っていないと、誰もかれもが弱っちく、自分勝手に行動した結果としてしか、受け取れないのですよね。みんな小者で、小者同士がせせこましい世界でちょっとした殺し合いをしましたくらいのことにしか見えないんですよ!いや、役者は役割を果しているんだと思うよ、でも、なんか、とにかく、誰にも感情移入できないし、理解もできない。特に、主役であるはずの、ダニエル・ウーの役がアホにしか見えません、そういう意味ではまだトニー・ヤンの感情の方が理解できる。しかも、最後の銃撃戦に説得力が全然ないし、血が通ってないのでなにも興奮がない。最後に、張震が銃の早抜きしたあと「これが殺し屋だ」とか言うんですけど、えーーーー、全然あなたがそんな腕もってるように見えませんし!笑っちゃうところいっぱいだよ!!よかったシーンはスン・ホンレイが踊ってるとこくらいか。。リウ・イェの最期の立ち振る舞いもなーんか中途半端で、あーあー。リウ・イェがタバコすうとことか、笑うとことか、傷口押されるところとかは萌えられたは萌えられたけども。。張震は特別出演なのに、そんなに出てきていいんか?いや、よかった、好きだからいいんだけど。。映画としてあなたがそこまで目立つのはまずいだろう。あー、よくわからなくなってきたけど、映画としてはまごうことなくつまらなかったです。もうちょっとなんとかならなかったのかなあ。。おもしろくなる要素はいっぱいあるはずなんだけどなあ。。ダニエル・ウーっていつもぼーっとしている感じがしてきたんだけど、、どうなんだろう。。ワンナイト・イン・モンコックのときもぼーっとしてたような。。悪役やってる方がいいのではなかろうか。。
義兄弟ものがとても好きなので、まったくそこらへんのカタルシスがまったくまったく感じられなかったのはかなしすぎる。もったいなすぎる。