小旗/タバコ


秋の鉄球が空き地にうかんでいる
カンカン
やけに生っぽい金属音だ
秋の鉄球は回ることによって
うかんでいる
カンカン
建物をたてる人員たちが
玄関になるべきところに
ベルをうちたてて
かえっていく
カンカン
趣味がタップダンスの
やつがあのなかにいるぜ
週末のクラブで
タンゴを
踊っているやつも
蹴り上げている
空想の腹を


目のまわりが真っ黒な彼女の恋人
アキ
いきたいなあと
いっている
布団をひっつかんで
ポップにいきたいなあと
いっている
日曜日と月曜日には
肉をたべて
水曜日と木曜日には
酒をのんで
金曜日の朝には
踊って
アキ
どうして
足をばたばやるんだ
もっと
スマートにいけよ
土曜日に
鉄球を
殴りつけて
ため息みたいな
叫び声を
あげる






沈んで




ベルは壊れた模様


前もいったけど
少女は育ったらおじさんになって
少年は育ったらおばさんになればいいな
秋に削り取られていく胸
春に溶けていくつきでたほうの性器
皮のソファにくっついている
魚の骨にさされた
って言って
8年間履きっぱなしのブーツで
鉄球を蹴る
よれよれのブーツだから
やっぱり爪が痛む
前もいったけど
アキは育ったらおばさんになって
わたしは育ったらおじさんになればいいな
少女、ってなんだかよくしらないんだけど
ついでにいうと、タイツでふとももが痒いんだけど
ちゃんとおじさんになったら
ちゃんとおばさんになったら
その後おじいさんになるまで
その後おばあさんになるまで
ずっと
抱きしめててやるから

胸に胸おしつけて
ずっと
抱きしめててやるから


頭の中で
しけった花火が
ずっと打ちあがる
目が
ちかちかいって
泣くひまもねえよ