ヒーローたちは奇形


だからあたしは首を傾げるの
口を大きくあけて威嚇する
そして空気をなでるみたいに
一歩前へ!


ふわふわの帽子かぶって
ジャージなんか着てる男に
やさしい歌ねなんて言って
バスを待つ
それは映画の中のはなし
そのたち方はシティのもの?
そのスラングはシティのもの?
そのポケットとブーツは
シティのもの?
シティっていい響き
そいであたしは田舎から
でんぐりがえしで
ここまで来たの


あーあーあー、響かす、
ミュートで、響かす、
羽根飾りの色を、選ぶ、


ヒーローたちは奇形で
だからテレビから糸をとばして
誰かの心にひっかけて
きつくむすぶ
おもいっきりひっぱる
血がとまって
かたちが歪んでいく
わかる
みえなくったって
ショウは一瞬だけ宙にうく
そうやっておなかが膨れた
幾何学図形に舌を這わせて
つつじの先をくわえて吸う
みたいにあまくて情けない
情けないのはシティ!


糸はきれない
さきに千切れるのは誰かの心で
ちりぢりになって
誰かのみえない壁は汚れる
鉛筆の先はみんな同じで
けどヒーローの歯型をつけようとする
ちりぢりになって
あんたのみえない壁は汚れる
そのシャドウはシティのものなの?
口々にでてくる
音程や言葉は
挨拶、天気、地図記号


あーあーあー、ミュートで、響かす、
みえなくても、あたしの壁、すっかり汚れた、
響かす、のは、手のひらを、奇形に、あわせてさ、
ふとももを、たたく、うえをみたら、
電車がはしってた、まるで、孤独みたいに、
うるさいや、だから!
あたしは、口をおおきくあけて威嚇する、
聖書がずっとさかさまに、風、
ページをふきとばすみたいに、
一歩前へ!