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路地の真ん中で
かたちになる前の
みずをみている
瞬きをするみたいに
カプセルが弾けるよ
ここにいると
静止しているものなんて
なんにもないんだと
わかる
膿
のような
腹
海
のような
原
うみ
のような
はら
で
震えている
つながったものが
からだのなかに
入ってきては
出ていく
つかの間の巣
ゼリーを
掬う手つき
魚を釣っている
蛇口はとっくにこわれていて
あたらしいものから
すてられていく
変化するぬめり
減っていく金属
魚を
釣っている
釣った魚を
家に持って帰って
横たえる
よこたわる
電車が音をたてて
横ぎる
わたしの腕から
すこしの電気が
放出されて
魚が
びくびくと動く