目が痒くてたまらない。
もう、5月だというのに、花粉がまだ飛んでいる心持ちがする。
風がつよい。



ギリギリまで凝視するということ。
彼らは突き飛ばしあったり、
踏みつけられそうになったり、
上になったり、
下になったり、
していたけれど。
ギリギリまで凝視するということ。
出した手に感触がなにもないこと。
おまえ、という発音する口の動きを、
ギリギリまで、凝視するということを、
彼らは突き飛ばしあったり、
順番に静止したり、
していたけれど、
たぶん、あれが、
わたしたちの幻想のからだ、
どこまでも、
噛みあわない、光のあわい、
絶望ではない、
足掻きだ、
そうして、
どこまでも、
噛みあわないということを、
信じ、
どこまでも、
揺さぶりあうということを、
信じる、
歯ががちがちと、
する、
サイレン、



なにに憧れていたのか、
といえば、
それは、宇宙人だ、
どこか、ちがう次元から、
やってきた、
つるつるとして、
ぼうっとひかる、表面をもつ、
宇宙人、
かたちをいつのまにか、
かえる、宇宙人だ、
それに憧れていた、



いや、おまえ、
という口の動きをみて、
わたしたちの、
薄汚れた、表皮、
赤黒い、内臓、
黒ずんだ、毛穴、
あらわれる、
わたしたちの、醜さに、
理由をつけず、
走る、長方形を、
走る、いや、おまえ、という、
口の動きをみて、
わたしたちの、
醜さに、
手を震わせ、
わたしたちは、
おまえたちを、
守る、


守ることが、
できる、