うそだったよ


ダビド
という映画をみて
泣いたときみに言ったけど
あれはうそだったよ
ダビド
なんて映画
みたことがないし
ダビド
なんて映画
本当にあるかどうかも
しらなかったよ


夢に
きみがでてきて
おきたら
なみだがでてたって
きみに言ったけど
あれはうそだったよ
夢に
でてきたのは
本当は
中学生のときの
クラスメイトや先生で
先生に怒られて
ごめんなさいって
言っていた
けど
おきても
なみだなんかでていなかった


泣いてしまったとか
なぜかなみだがでたとか
きみに
いいたかったんだ
そうしたら
すわった地べたが
あったかくなるみたいに
あいみたいなものが
むねのなかで
チョコレートみたいに
ひろがるって

ひろがるって
おもって
ひろがる
って


なにをおもいだしたらいいんだろう
中学生になってから
夜の小学校にしのびこんで
虫があつまるあかりをみたことや
こわい星たちのしたで
自転車でころんだり
そういうことを
おもいだしたら
ひろがるかな


  
  やさしいはなしだよ
  わたしね
  中学生になったら
  おちんちんがはえてくるって
  おもってた
  なんだか空から
  きらきらした粉みたいなのが
  降って降って降って
  でも
  わたしにはそれはみえないから
  ある日
  朝起きたら
  おちんちんがはえてるの
  そしたら
  窓に
  孫悟空がやってきて
  クリリン、さあ行こうって、
  行ってくれて
  それで 
  ドラゴンボール
  一緒に探して
  わたしは
  悟空をかばって
  ドラゴンボール
  集まるまえに死ぬの
  それかね
  イギー・ポップ
  一緒にバンドやろうぜ
  っていわれて
  わたしはギターで
  肩をつかまれて
  コーラスをするの
  わたしは
  ヨーコになったり
  コートニーになったりしない
  わたしは
  ポールや
  デイブになるの
  死ぬとか
  生きるとか
  どっちでもいいけど
  生き残って
  70才になったら
  おちんちんが
  縮んで
  なくなっちゃうの
  わたしね
  実をいうと
  今でも
  おちんちんがはえてくるって
  信じてるの
  ああ
  もう暗いね
  夕方だね
  電気つけるね
  


やさしい
はなしだよ
ダビド
なんて映画
どこかにはあるよね
やさしいはなしの
映画だよね
だれも
うちのめされたりしないし
だれも
おこったりしないで
だれも
ないたりしない
やさしい
はなしの
映画だよね
ダビド
なんて映画
どこかにはあるよね
きみは
ダビド
なんて映画
絶対にみないでね
みつけても
絶対に
絶対に
みないでね


夢には
きっと
いつか
きみが
でてくるよ
夢には
きっと
いつか
きみが
でてきて
わたしは
おきたときには
きみが
でてきたことを
すっかり
ぜんぶ
すっかり
ぜんぶ
きみが
でてきたことも
きみが
いたことも
ぜんぶ
わすれてしまう

わすれてしまう
おちんちんを
はやすことを
わすれてしまった
わたしの
からだみたいに
わすれてしまう
ぜんぶぜんぶぜんぶ


ぜんぶ