斜光


階段を
上ったり
下りたり
していた
コンクリート
さらしっぱなしに
している
長方形のビルから
はみだした
階段
塗料が
からからになって
手すりから
うきあがっている
それを剥いて
もっと細かくして
手すりの
向こうに
手を伸ばして
放した


廃墟ってのは行ったことあるけど
廃街とか廃市とか廃国には行ったことがない
それはしあわせなことでいまでも
わたしの血の色は赤だと怪我をしなくても
知る根拠になりうるはずだ
けれどこのコンクリートのビルは
階段を振り落として
曇った空を多義的にする
おまえはしぬまでいきなければならない
おまえはいきるかぎりけんこうをしこうしなければならない
おまえはしぬまでかんがえなければならない
ヨキコウエンノセイシツニツイテ
リンゴノジツゾンニツイテ
マズシイモノタチノセイメイニツイテ
ホロビユクモノタチノウンメイニツイテ
RPG
モニターもハードディスクもすごくあつい
収縮 


手をはなされて風船と
糸がきれた凧は
出会わずに
いつか落ちる
ガムの味が切れて
ずいぶんになる
風がつめたい
ここに雲があったら
何にも言わずに
千切れるくらいに
風がつめたい
と思う
がさがさして
いる
地球は
土の層と水の層と
空気の層とあって
そのどれもが
がさがさしているので
背中や腕やふくらはぎは
がさがさにあたって
がさがさになる
かっこいいしるしだ
かっこわるいのは
服で
なににつけても
回転がうまくできない
やつら


はみだした階段は
遠くから見ると
かたむいている
かたむいたままいる
がさがさ
がさがさ
塗料と手すりの間に
なにかいる
がさがさ
鉄を食べて
行け銃三
行け行け
銃三


銃三を
スカートの
ポケットに
入れて
風をおしながら
家に帰ったら
銃三は
固くなっていた
かたむいている
かたむいたままいる
ぬるい
ココアくらいの
室温
鉄のにおい


かたむいている
かたむいたままいる