ふね


たねを
からだの
なかから
ほじくりだして
あなが
のこった
ろうそくみたいな
いきかたで
うつむくのは
せいふくを
きたときの
きもちだから


咳きこんだ
わざと


てをまるめて
どんどん
おおきくなった
からだを
ごまかそうとする
はなにとまれない
がらすにのれない
さみしくて
ふきとばされそうなのは
きもちとかこころってやつで
ほんとうは
だれも
ふきとばされたりなんかしない


台風をまってるのか?
ねてるまにいってしまう
まちきれなかったね
こんども
きっとつぎも
そのたねは
なんのたねだ
ヒッピーのネックレス?
カルト教団のひみつ?
彼女の病気?
彼の遺書?
なんのたねだ
なにかはえたらいいね

いうな
ちまみれだ
みわたすかぎり
ちかちかと
うみがさざめいて
パワー
へヴィー
きみのばあいは
ピース
ユナイト
からだのなかに
のこった根が
ふとももを
つっぱらせる
葉のつもったなかから
花が咲いたとして
さみしいのは
なんのため?


ろうそくみたいなひで
てをかざした
りょうてをあわせると
かさかさと
葉のつもったなかから
だれかがしのびよってくる
みたいなおとがした
かさかさと
ろうそくみたいなひで
にせもののファーを
まいた
うさぎでもてんでもない
にせものの
ファーで
ざわざわざわざわ
ほじくりだした
たねを
おくばでかみくだいて
はきだした
もう
ふきとばされたりなんかしない
からだで
けれど
かさかさと
ふきとばされるものがある
ところどころ
せかいは
ぬれてる
みわたすかぎり


せいふくの
ひとたちがうみをおよぐ