数千の

みんな死ね
と
みんな死ぬな
の
あいだで

目がかわくんだ

冬
雪がふった
世界中の
手のひらの
皮だ
あれらは
しろい
くろい
わからない

夜
目がとびだしそうな
長針と
短針の角度
けれど鈍い
赤ちゃんが泣く
凍った
ケーキ
おどりをおどる

なんで
死んだのか

殺されたから

強要

せかいのはじまりとおわり

どちらも嘘

殺されたから

めをとじて

なお

めがとびだしそうな

よる

ふゆのありかに

しゃがみこむ

せい

せ　い

透明人間が
はずしてはとめる
世界中のブラジャーの
ホックとひらかれる
コートのそでぐち
すこしずつぬれる腋
皮がおちている
はがれた
皮は色をはじめて持ち
冬
雪がふる
いたくはない
ただすこし
ゆっくりとゆびをまげて
てをつなごうと
しただけ

みんな死ね

みんな死ぬな

強要

殺されたから

透明人間が
おどりをおどる
いたくはない
ただすこし
てのひらが
薄くなって
厚くなっただけ

みんな死ぬな
お願いだから
みんなだまれ
お願いだから

みんなで
いっせいに
いつまでも
いっせいに
だまって

ただ
ただ
てのひらの
皮を
むいて
みえない
ものが
にじむ

そして
わたしにも
しゃべること
のできない
ところがあると
きづいて