おちょうしもの


ここは
いつも
とても
とおい
ところ

つながっている
だいどころで
たべものの
かけらを
ふんで
その
かけらが
あしのうら

くっつく


おちょうしもの


すきは
いやと
おなじ
わたし

きみは
いつも
あらそう
みたいに
しゃべった
でも
いつも
いっしょ
だった


ワンピースみたいに夕方だった


きみの
まつげは
ばさばさ
していた
わたしの
かかとは
かさかさ
していた
きみの
まぶたを
舌で
ぬらした
わたしの
踵は
てのひらで
つつまれた
うで

あし

うらがわに
みちをかいた


ほうせき おかし ひかり
儀式みたいに ののしりあって くっつきあって
ねむった


おちょうしもの


うえのほうをむいて
あいまいに痛いおなかをさする
ニスににおいひっかけるポケット
腕についた果物のしるをなめて
よごれたテーブルに額をつけた
また 行っちゃった
崖を ごろごろ 転がってった
きみ と よぶような ひと
もう あかちゃんだったときのこと
わすれた


欲しいものを破って
指をはしからいっぽんずつ
くちのなかにいれてしゃぶった
ねもとからつめのさきまで
そのあとでみずをのんで
何かをしたあとの手は他人のもの
みたいで 「わかってるひと」ってのを
チョコレートで べたべたにしたくなって
「わかってるひと」ってのが
くちからはきだすなまえのブロックを
かたい床のうえにおとして 割りたい


すっぱいよ くさってる
ちゅうくらいに のびた 爪が
海のしがいやよごれみたいに
ハイウェイで転倒したバイクのにおいみたいに
みにくい


おちょうしもの