みし




彼とか彼女とかは自分の名前が嫌いで
口はゆっくりと見える回転で穴を開け
る機械であけられたあなみたいだ彼と
か彼女とかは対になるしょくぶつと吐
瀉ぶつのプールでミニチュアの彼と彼
女がつなぐ手がないあるいは数がおお
すぎて選べないなにもかもが多すぎて
あるいはなにもなくてさっきから音が
とおいおとだらけでみちみちておしつ
ぶされるにくのなかのにくのなかのに
くのなかしろい






彼女
たち

けれど

彼女
とは
よびあわず

そえもの

錆びを
ずっと
頬で
なぜている
まるで
ひろい
平面の
さびの
欠片が


彼女

目に
入り
お互いを
すこしだけ
とかす
腫れて
いく

かげる
ドーム


生き物といきものはぬいあわされていて
だれかのたべたものがぬいあわされたく
だを通っていくぬいめから褐色のみずけ
がしたたりおちてべつの生き物のあるい
は食べ物のいきものの無数の目のような
あなにたれてしみるすうせんのめがまば
たくとすこし赤みをおびてたべものだっ
たものとたいないの粘膜がすりあわされ
た液体がなみだとおなじようりょうでま
たながれたつぎつぎに溢れたえきたいが
またいきものにかかりすうせんの目はま
ばたきつづけるうごめいている襞のある
くだうらがえされたぶぶんにぬいあわせ
るときにつかった金属針がひっかかって
ひくひくというにく


彼や
彼女たち
はつばをくち
いっぱいにためて
からだをゆすぶってずっと
くずれないなみみたいにくっついて
プールにむねの突起やせなかの窪みをすりつけていた
彼や
彼女たちは
誰が彼らの
血族だったのか
誰が彼らの
夢にでてきたのか
誰に彼らの
まるまった曲線を
食べさせたのか
誰が彼らの
まるまったこどもを
食べたのか
誰が彼らを
泣かせたのか
誰が彼らの
からだのなかの草を
ふみしだいて荒らしたのか
誰の
からだに彼らの
靴あとがのこっているのか
草の傷の
しゅるい

いと誰か
誰か誰か誰か
忘れてしまった
わすれてしまった
せんたんがすれていたい
彼や彼女らはもぞもぞとむきをかえる
わすれてしまった
いまとはことなったこどくや
たたかいの
かんかくを
めをあけていたみ
めをとじていたみ
けれど
ときたましかめはあけなかった
あけたときに
しっていた
ひかりや
しっていた
やみがあり
それははなれていて
ちかづいていて
くっついていた
よびあわない

彼女と
よびあわない
つばが
たえきれず
くちから
もれた


わすれてしまった
からからというつばのにおい
にめがまたいたんだ


わすれてしまった

わたしたちは

わたしたちは

わたしたちは

かわらず

かわらずいる

かわらずにここに


めをあけていたみ
めをとじていたみ


かわらず