ソロー



あたしたちは
いつも
目に見えないものを
しんじてた


夜に
旋回する
オートバイ
まばたきを
する
ギター


どこかで
だれかのからだから
血がながれ
世界にとどまろうとする
声が
矢印になって
道路を
すべっていく


目に見えないものを
しんじてた
いつも
空に続くハイウェイ
アスファルト
つけた傷を
何度もなぞる
ゴースト
あたしたちの
紐帯


あたしたちは
死ぬときにおなかを
空にむけて
せなかをつちに
つけて
死んでいかなきゃならない
あたしたちのしたいを
みつけただれかが
空にむけて寝かせてくれるのを
しんじていなきゃいけない


流れていく
めにはみえない
行列が
踏んでいくつちの
あとで
浮き上がる
みみず腫れ




目にみえないものを
しんじてた
しんじてたとおもって
しんじようとする
あたしたちの
靴音を
聞こうとした
空気にのる悲鳴と
聞こうとした
あたしたちのめにみえない
こどもたち
あたしたち



あたしたちは
生きたくて
あたしたちみんなで
生きたくて
地球は
反転することができなくて
けれど
あたしたちは
くらやみで
まばたきをした
いっせいに
まばたきをしつづけて
あたしたちの
みえない
こどもたちを
うでにおさめたの


いつも
いつも
しんじていた
とけだす
サイレンが
あたしたちの
めにみえない
そとがわの
からだのなかで
いっせいに
ひらいた
あたしたちは
つばをのみこんで
あたらしい
音を
漏らしたの