maroo


永遠に独白しつづける少年少女の夢
ナイーブであることが夏休みを凍えさせたけれど
薄い氷にとびこんだときに
からだがコバルトいろになったよ
と言った


ぼくのほんとうの髪は
茶色くて
やわらかくて
たくさんで
ふくらんでいて
からまっている
そこには
鳥が住んでいる
生殖できない
二羽の鳥が
住んでいる
羽毛のいろが
毎朝ちがう


しらないひとはちがうことばをはなす
しっていればおなじことばをはなす
おとこのこはおんなになる
おんなのこはおとこになる
ナイーブでいつづけようとする独白を
しらない子たちがはなしている
ナイーブでいつづけようとする独白を
しっている子たちがはなしている
ギャング・エイジ
ぼくたちはちがう王国に住む
時計
数字
定理
約束
比率
和音
同期
そわそわって
手をかざすいくつもの冒険だった
ことばはばらばら
ちがう鉄塔をもっている
仲間

友達
恋人
異性
同性

学校
会社
鉄道
ちがうあいことばをわすれる


いつまでもきれいなのは外側
いつまでもきれいでいたいのは外側の内側
しらない子と
会話しているふりで
ちがうことば
ばらばら
ホテルに
すべりこんで
鼻歌
死んだ人と
バンドの名前だけが
一緒の冒険
動かずに
運行する
錆びついた箱
エイブラハム
シェイクスピア
ローリングストーン
メルヴィル
マルコ・ポーロ
フリー
ドアーズ
懐かしいのは
いつか飲み込んだ
小型ラジオの
すこしのノイズで
会話のふりで
撫でた背骨の継ぎ目


これは
永遠に生殖できない
二羽の鳥の夢
ほんとうのぼくには
おちんちんが
なくて
やわらかくて
茶色くて
からまっていて
ふくらんでいて
たくさんの
毛が
二本の腕と
二本の脚を
つないでいる
おおきな
まんなかの
かたまり
生殖できない
毛玉
しらない子たちに
さよならを
言おう
顔に唾を
ひっかけあって
汚れた
服でふこう
貝殻
ガラス
望遠鏡
羅針盤
磁石

生殖できない
お父さんと
お母さんが
ちがう塔の
なまえを
交換した
永遠に
独白しつづける
ぼくの
ほんとうの
肌には
いろがない
さよなら
なつかしい背骨