パンズ・ラビリンス


http://www.panslabyrinth.jp/


個人的には、とても満足いく映画。
クリーチャーだけでなく、すべてがとても丁寧につくられているという印象。
現実世界において、ファンタジーというのがどういう存在であるのか、ということを非常に鮮やかに明確に、けれど安易にではなく描いていると思う。特に秀逸だなと思うのが、現実とファンタジーが相互に描かれることによって、自分のおかれるものとは異なる時代の異なる文化における現実の状況というのが普遍的に感じられるというところ。かといってその現実は白々しいものではないし、そこにいる人たちはたとえ少女であってもとても利己的に存在している、そしてその利己的であるということに正義ややさしさが含まれているということもわかる。
けれど、見られない人は見られないだろうなあ。。わたしは身体に痛みを与える映像が好きなのだから全然いいのだけど、そのファンタジーにおけるグロテスクさよりも現実世界における実際の暴力描写が非常に生々しいし苛烈だ。ここ最近でわたしが見た映画のなかでも特に生々しい痛覚を感じさせる映像がとても多い映画だった気がする。そういう部分が苦手な人は多いだろうし、、まあ、それが中心におかれた映画ではないんだけれど、、。わたしの個人的な趣味をいうと、ファンタジーというのは本当は触覚的なものだったんだよなーと改めて思ったのでこの生々しさや苛烈さというのは必要になってくるんだろうなとも思う。特に大尉の自分の身体への向き合いというのが非常に鮮烈に描かれていて、こう、身にしみた。うん。