イカとクジラ


微妙な気分にさせられる映画だった。それはもう、嫌気がさすくらい「日常」で、その嫌気がさすくらいな「日常」を映画で見たいかといわれると、「はい」とは言いにくい。結局、「わかってる奴」と思われることを人生の起点にしてしまっていて、あくまでそこからの揺れを描いているような気分がするところは、自分にとっては非常に痛い。揺れはしても、結局は起点に戻ってくるし、そういう立ち位置なんだろう。父親の存在が痛烈にそれを感じさせる。
本当にあけすけなので、途中、他人の生活を覗き見しているような息苦しさを感じてしまった。けれど、日常起こる劇的なことなんてたかがしれているし、気付くことや思い出すことのなんとちっぽけなことか。けれど、それがとても重要になってくるのが日常だし、イカとクジラの展示が、ばかばかしくも重要なブロックになってくるんだろう。けれど、改めて映画でそれを見たいかというと、やっぱり、首を傾げたくなるな。
なんといっても、劇中かかる音楽のなんとしみったれたことよ。これは曲がしみったれているというよりは、映画を彩るすべてのものがしみったれているので、音楽もそう聞こえるということなんだろう。だとしたら、すごいことかもしれない。嫌いな映画ではないけれど、人に勧めたくなる映画ではないな。
というか、男の子ってここまでエッチなことであたまいっぱいなのね。。。その「いっぱい」の中には、押しも引きも含んでるんだなと思うと、タイヘンだ。はじめてキスしたあとに、「そばかす多すぎるね」とかって言っちゃったりするものなの?無いだろ。と思う反面、役者が言っちゃうんだろうなあ、、と思わせる空気を放っているので、ああ、言っちゃうんだろうなあと半ば納得する。そういうところが、映画として上手いなあと感じもするし、うんざりする映画だなあと思いもする。