首をかしげているがりがりの鳥のようなひとたち
草がなびいている刀をおさめたまるい盾が
すこしだけ音をたてるどぉどぁどぉ草が
彼らの前で髪のない部分の頭を土につける
3回土につける右手で服についた埃をはらう
辮髪のみつあみの先につけられた鈴がなる
革命のときに首をおとされた弟の髪が刹那宙を舞って
曲線をえがいたあと血の上にさらされた
それを覚えている誰も動かない鈴が鳴る
てのひらにこぶしをつける
刀にあいた穴がひうひうといった草がなびいている
たたかうまえのお辞儀のあと彼らの腕がひろげられる
なにがサムライだなにがサムライだなにがサムライだ
いつ血を吐くのかその刹那みつあみに草がささる
血を吐いた胸の辺りを汚した
ぐふっといって血を吐いたなにがサムライだなにがサムライだ
おまえの胸にひとさしゆびとおやゆびをつっこんで回転させて
血を吐いた頭を土にすりつけて腹をおさえ
たちあがってまたかまえたおまえの胸にさしこむ指と
さしこまない指との角度をとるがりがりの鳥のようなひとたち
なにがサムライだがりがりの鳥のようなひとたちが着る着流し
がりがりの鳥のようなひとたちが着るキュロット
足首を締めるのかふくらはぎを締めるのか
足はなにも締めつけないのか決めるのはおまえじゃないサムライ
風が髪と皮膚のつぎめをなぞっていく
口の中の血を舌で丁寧に舐めとって棒を折った
サムライわたしサムライおまえじゃない
おまえにキスしてもいいか
なにがサムライだと刹那を解いて
おまえの髪の生えていない部分にキスしてもいいか
おまえのみつあみをひっぱって天を仰がせてもいいか
そうしてわたしが濡れてもいいか
なにがサムライだわたしはまるで雨にぬれそぼっているみたいだ
おまえの拳法の鈍さにわたしの顔をうずめてもいいか
わたしはまるで急所をはずされた胸のあがき
おまえにキスしてもいいか
おまえのみつあみをひっぱって
わたしを仰がせてもいいか
まるでわたしはつぎめのある武器を
つなぐチェーンで首を絞められた足先のよう
なにがサムライだ
おまえのてのひらとこぶしが
あわせられるのをみて
ひどくおまえをたちきってしまいたくなる
なにが
なにがサムライだ