ことしいちばんのさむさ


ミスターローレンスに
メリークリスマスをいいなさい
しんだひとのこえを
スライスして空から降らす
仕事でミスターローレンスに
メリークリスマスを
手の甲の皺の数をかぞえるように
いいなさいと
こどもたちは
電脳の液体について考える
トリ トリ トリ 
どうしてきてくれない
はじまりの「い」か
おわりの「い」かで
メリークリスマス
今年は寒いね


千年の木が
抜かれてできあがった
大きな穴の中に
集まる日
今だけは
今日だけは
ジョンだ
ヨーコだ
ボブだ
マリアだって
言いたがる
風邪に
かかって
雪に皮膚を
くっつけて
千年の木の
マッチをする
大きな穴に
ひしめきあう
手足
いまだけは
きょうだけは
おだやかにと
ミリタリーの
センスだ
わたしたちは
いつだって
ほんとうの
ミリタリーを
しるひとと
しらないひとと
すべてが
いまだけは
きょうだけは
しろく
なり
と荒れ果てた地
のいろと
にて
にていて
けれど
すぐにしろく
うすく
よごして
いつだって
わたしたちは
ミリタリーのセンスで
キスを


くそったれ


帽子を脱げ
靴を脱げ
ダウンジャケット
を切り裂いて
トリ
トリ
トリ
どうして
きてくれない
なにが
くるのと
こどもたちが
きいて
だれもこたえられず
だまって
トリ
トリ
トリ
トリ
千年の木は
どこへいったの
どこへいくの
どこからくるの
トリ


わたしたちは
電脳の液体について考える
それには
みずがどれだけふくまれているのか
おぼえていることはあるのか
なにかをおしたりひいたりすることによって
はじめたりおわらせたりした
記憶について
音について
裸について
枯れた足や根について
こどもたちに
こどもたちが
なにかいう
ミスターローレンスに
メリークリスマスを
いいなさい
そして
かえるばしょと
いくばしょは
同じであるようにと
願う
ミリタリーの
センスを
口に手を
つっこんで
ひきずりだして
くそったれ


かんたんに
しぬ
ぜんぶのものに
メリークリスマスを
いいなさい
くそったれ