イルミネーション


天から
せかいじゅうのひとのための
布おむつがたれさがっていて
いつでも
ひらひらとゆれてた

よるのくもは
はがれかけたかさぶたのようで
わたしたちは
ボタンをゆびでさわるときの
ぱちぱちとするぜんぶをおもいだした

今日も
みんなが天からたれさがっている
布おむつをきりとっていく
きりとったぶんだけ天からの布おむつは
またたれさがってきて
アコースティックギターのようなおとがした


編み上げた
帽子は
枕の下に
隠して
いつか
汽車が
いえの
まわりを
めぐるのを
まった

汽笛

点と点をつなぐ

線路

泣くな
泣け
泣くな
泣け
泣くな
泣け

泣くな


天から
たれさがっている
布おむつのまえで
おんなのこがないていて
おんなのこのまつげはながくて
ばさばさしていてかみのけはほそくて
やわらかくてふくらんだすかーとをはいていて
まわるとすかーとがまたふわふわふわふわして
でもおんなのこはないていて
みんな布おむつのしたでまちあわせた
てをつないでひだりがわにまわってまわってまわって
布おむつは
星をきれいにかくして
ぱちぱちとするぜんぶが
ちいさくなっていく
とおくにもたくさんの
せかいじゅうのひとたちのための
布おむつがゆれていて
それはまるでおーろらみたい
だった


おんなのこのあしは
まるで木のえだのよう
みぎまわり
ひだりまわり
みぎまわり
ひだりまわり
わたしたちみんな
ひとで
でも
わたしたちみんなのまわりには
くまやうまやむしや
びるやくさやまどや
みぎまわり
ひだりまわり
とおく
ちかく
天からの布おむつがゆれていた