ミギミミ

 
数千の
たまごをこわす
むねのあたりが
まがっている
あたしのすきなひと
皮膚のフレアを
ひっぱって
泣かせた
あたしのすきなひとが
あたしのやったことで
泣いたの
数千の
たまごをこわす
みんなからっぽで
いつのまに
逃げたの
ビスケットみたいな
声のかたまりが
喉につまって
あたしのすきなひとの
なまえよべない
皮膚のフレアを
ひっぱって
泣かせて
泣いても泣いても
ずっとあたしは
やめないでひっぱって
いてあおくすきとおる
脈がきれて
つなぐ脈がきれて
パンのみみみたいに
あたしのすきなひとの
はしっこだけ
あたしのてのなかに
のこった
みんなからっぽ
いつのまに
逃げたの
あたしのやったことで
あたしのすきなひとは
泣いたのに
泣いたのに泣いたのに
泣いたのに
ぜんぶ
あそこは平原で
こわしたたまごを
足でふみつけて
足にかけらがささって
あたしのすきなひとを
ころせばよかった
まがっているむねに
あたしのゆびつきさして
ぜんぶ
平原が皮膚のフレアで
なみうって
かすれた