シンバル

あさおきたらよるだった
トイレに行きたかった
よるだったからくらかった
いつもつけているちっこい電球は消していた
ベッドのうえから手をのばして電気をつけた
よるだったからあかるくなった

トイレに行きたかった
フローリングいちめんカステラだった
カステラはうすっぺらかった
というのはカステラのしろい部分はなくて
ちゃいろい部分だけしかもざりざりとしている側だけだった
トイレはとりあえずがまんすることにした

テレビをつけた
テレビの中は昭和初期という雰囲気だった
昭和、ご唱和、お願いいたします、
よるだったから部屋に自分の声は響きやがりました
カステラは思いのほかじゅうじゅういっている感じで
ここ歩いたら熱いだろうと思わせた

少林寺では火の上を歩く練習をするから
わたくしもそれをやらねばならないな
クリリンの称号がそうでなければもらえないと思いながら
携帯電話で10枚ほど写真をとった
そしてそのうち1枚を待ち受け画面にした
そのうち3枚を彼氏に
あと1枚ずつを友達に
メールに添付して送信した

女の子のともだちがヤギを
男の子のともだちがアライグマを
彼氏がオランウータンを
つれてきてカステラを次々食べさせた
パジャマパジャマパジャマパジャマ
シーツシーツシーツシーツシーツ
フローリングはヤギとアライグマとオランウータンくさくなった
オランウータンは
とても体調がわるそうで
彼氏はむりにベランダから電線をわたらせようとして
パジャマ死ぬなあパジャマ死ぬなあシーツ死ぬなあシーツ死ぬな!!!!!!!
トイレに行きたかったわたしはとびあがって叫んだ
死ぬなあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

みんな帰って
カステラにはいっていた四角形のさとうのかけらを
舐めてあそんだ
トイレには無事行けた
なにか食べに行こうとおもったけれど
財布がみつからなかったので手を二つ折りにしたら
手が財布になった
財布になったけれどお金はぜんぜんはいっていなかった