ぐんじょう式


明け方の
石膏像みたいな景色
絵の具をはじきかえしたあとの
ビル
空のハーモニカが
原子記号を
うたう

とたとたとたた

ながれて
つまずいて
くりかえして
電車はすすむ
誰もが
首をかしげてだまる
時計の角度で
三角定規で書きました
たかいビル
ひくいビル
やねやね

とたたたとたたとと

こはく
というかたい
いきものが
その凹凸を
つたって
はねまわって

あさ




あのひとの
ボタンを
じいっとみていたら
とたた
とたたたた
とと
糸がつまみ食いを
していました

きみはやさしい

なつがおわること
あきがくること
どのわりばしが
だれのものかということ
きのこが隠されている
ビルの名前
ゆうこちゃんが泣いた日のこと
雨がやむときのこと

きみはやさしくない

ボタンは
プラスチックや
木ではなくて
金属製でした

隠されていたきのこは青色で
食べられなかったけど
とてもとても
ありがとう