8月4日


シナーのことを話す、自分と
ぶつぶつとつづく肉の分解が、耳にうるさい
手を空中にのばした、シナー
シナー、わたしに苦痛を
関節を無視した、からだの動きを
くずおれる土くれを、と
シナー、
どうしてだまってたっているの
泡がもう、そこまで
同じことばかり繰り返すと、蔑む
けれど、皮膚が感覚する
シナーを、


8月5日


新宿の駅で上を向いて口をぱくぱくさせていた、腋の下に毛糸がべったりくっついていて、前を歩くおじさんの耳から蛍光色の液体がどろりとでてくる、ねえ、ヒールをかつかつならすお姉さん、あなたをうしろから抱きしめたい、そして、首筋に舌をはわせて、胸を両手でもちあげて、足の間にわたしの足をいれて、あなたを、わたしの耳には粘土をつめこみ、油でべたつく手がふるえる、きらきらとするまぶたにすりつけて、ねえ、どこに痛みをくわえて、遠ざけてくれるの、あなたが、ひととすれちがうことがこわい、真綿で息ができなくなっている女の子がびっこをひきながら階段をのぼっていく、ねえ、眠りなよ、そうやって、でんぐりがえしをしないでいいから、そばに誰もいなくても、皮膚を皮膚で絡めて、道にながれていかないように、わたしの淀んだ液や、かすんだ影が、ねえ、あなたをうしろから抱きしめたい、ロシア人みたいな男の人が、壁にもたれかかり、ねえ、あなたの腹に手をはわせて、背中に歯をあてる、ひとといることがとてもこわい、くずれおちる、くずれおちる、と大声で歌いながら、ずぶずぶと泥の中を歩いていく男の子、どんな声で、わたしを、あなたは、クッキーがぼろぼろになり、袋のなかを汚す、そうやって溜まっていく粉や欠片を、こすりおとす指が切れて、ただ、こわい、けれど、あなたは、どこに痛みを、どんな声で、くわえて、くれる、の、くちびるを噛んで、首をうごかすと、窪みがくるくると動く、窪みがぼこぼこと上下して、それが彼女の目に見える、


8月6日


トイレにうずくまるわたしの頭には星が
そしてその下には女の子たちが
ながなわとびで遊び
そこは楽しい?
星をつなげる遊びをいたむ
痛む逆流
足になわをひっかけて
転ぶ、シナー
遠のいて
いく
誰かの
告白