朝、
女の人が、二人組で、
日傘をさして、うちにきた。
たぶん、あれは宗教の勧誘だな。
うちの玄関には、
うちのねこが、捕ってきて、
片付けるのを忘れていた、とかげが、
すこし、ひからびていた、
女の人は、うちの呼び鈴を
ポン、と鳴らして、
(うちの呼び鈴は、ポンとしか鳴らない)
帰っていった。
ひとつまえのうちでは、
朝から、
宗教の勧誘に、
おそろしいまでにきれいな、
しかも、髪がさらさらな、
お姉さんが、やってきて、
ぼうっと話を聞いていたら、
本を置いて帰っていった。

意識をなくすことはこわいことだ。
こわいことを忘れることほどこわいことはない。