hitahita

タイム涼介アベックパンチが映画になる
ということもしらずに
パンパンになったパンダに
おしつぶされて
窒息する
1時間後に
蘇生したけれど
もう
すっかりちがってしまった
ちがって
しまったの
かしら
もう
すっかり?


あかちゃんが
いい
においを
させている
おかあさんは
花柄のタイツを
はいている
細かいプリーツの
スカートを
はいて
花が大きい
花が大きかったね
ベッドにつっぷして
いるとき
お父さんが
覚えているのは
花が大きい
ということだったり
するんだ

お姉ちゃんが
言った


そんな思い出はいらないのだけれど
そんな思い出は知らない間に
お気に入りのワンピースに
とんだミートソースのしみみたいに
こすらずにいられないものだ
そうだね
そうだ!
お外であつまって
手をさする
パーカーの合わせを
うえまであげて
ただあつまっている
そうだ!


おいしいものをたべること
あたたかいふとんでねむるとき
あこがれの皮膚をなでること
すべてさしひいても
ひどい
ひどい!
たのしい
たのしい!
デモに行くひと
被災したひと
ひとびと
だれひとり
おなじきもちなんかでは
ないだろう
みんなちがう
なまえで
あつまっている
そうだ!
かなしい
ちがう!
つらい
しらない
ひどい!
夜に焚き火があるように
思い出はいらないのだけど
大きな花があたためられて
いた!
いたい!
にんげんはチンパンジーとちがっている
教えようとすること
抽出すること
時間をながく感じること
抽象すること
おいしいものも
あたたかさも
あこがれも
ひどい
のうえに
ぐらぐらと
のっかっている
眠る前の
まばたきが
今日も
かわいている
かれらはもどってきませんでした
もうはいれなくなるとおもう
花火みたいに
人生がおわるイメージで
まだいるのかしら
まだ
ロッカーを素手で殴る
イメージで
生きているのかしら
人間は
花火じゃありません
ロッカーを殴ったら
きみの方が痛い
血なんかはでない
花火も
雪も
ずっと一緒にいたら
だめになる
からだが


花が大きい!
こぼれそうだ


家族は
みな
肺や

内臓の一部を
失って
そこから
しばらくを
生きました
もしくは
生きています
あなたに感情を昂らせる権利はないです
と言う声はいつもふるえている
あなたには泣いたり怒ったりする権利があります
と言う声はいつも平らだ
と決めること
月の骨が電車に突き刺さったため
大幅に遅れが生じています
みなさまにはたいへんご迷惑をおかけして
申し訳ありません
どの声に
許されたと
感じるのか
許されたいと
思うことが
なによりも
ひどい
けれど
許されたいと
思うことが
昇ってきて
やまない
あたたかさや
おいしさ
のように
からだのなかを
ひたす


あこがれが
ぼろぼろになっても
あこがれのままなので
とても
ひどい
ひといことばかり
どこかしらで
いつも
あります


子どもの手は
ゆるくにぎられている
いいにおいがした
頬の煤が
わらっている